■5月6月には、ある特徴が・・・
今年は、日経225ミニなどの「インデックス連動もの」で利益を出す人が多い。
そんな中で先週は、日経平均株価が年初来高値を抜けてきた。
さして良いニュースが見当たらない中、これをどう捉えれば良いだろうか?
この動きに乗るべきかどうか・・・。
今回は、ここ10年間の月次データから作戦を見出してみよう。
下表は、上の青い部分が過去10年間、下の緑の部分が過去3年間の日経平均株価のデータだ。
上昇した月を勝、下落した月を負、変動率は(高値−安値)÷前月終値、上昇率は月初と月末の比較(−は下落)、高値上昇率は、月初から月中高値までの上昇率を意味している。
この表を見ると、5月はここ10年間、3年間、ともに、月末までに下落していることがわかる。しかし、高値上昇率は決して低くはないので、高値は結構行くのだが、途中から月末にかけて下落してきたことを意味している。
つまり、5月は
「途中まではそこそこ上がるが結局下がる」月になっている。
一方、6月は、さらに特殊な傾向が出ている。
ここ10年間の勝率は、12月に次ぎ、7勝3敗と年間で2番目の高さを誇っている。しかし、上昇率は、ここ3年では年間で6番目、10年間では7番目にすぎない。
そもそも、月間の変動率はここ10年では最も低い月だ。
簡単に言えば、6月は
「堅く上昇するが、幅は少ない」月だと言える。
こういった傾向の原因は、大きくは二つあるだろう。
一つは、5月の「Sell in May」と言われるヘッジファンドの解約に端を発するアノマリーだ。また、このことが個人投資家にまで浸透したことも、動きに拍車をかけているかもしれない。
そして、最近の6月は、政府の成長戦略などの発表時期に当たっていることが関係しているだろう。様々な情報のリークなどにより、成長戦略の発表までは、色々と盛り上がる傾向があるものの、発表されてしまうと、それで材料出尽くし、あるいは、その発表内容に対する失望感が、市場に漂ってくる。
つまり、毎年繰り返される5月〜6月のパターンは、
決算発表・・・ヘッジファンド売り警戒・・・成長戦略期待・・・材料出尽くし(もしくは失望)
という一連の動きだ。
これらのデータを重視するなら、5月は高いところで売り、6月はもう一勝負できるが、大きく動かなければ、さっさと撤収、となる。
そして、ここ10年、決して実績は良くない7月8月を迎えることになる。
■次の目標は20,833円
私は年初のレポートで、今年は5月にうまくいけば20,000円を達成するが、年間を通した見通しを語るには、その後の3か月間、特に7月8月がポイントだと書いた。
6月は目立った動きはなく、7月8月にかけて下がれば、年末までに期待できるが、ここで上がれば、逆に年末にかけては下落する可能性がある、としたが、いまの考えもあまり変わらない。
しかし、年初の予想とは違う一面があるのも確かだ。
まず、20000円を超えるタイミングが思ったよりも遅かった。一度20000円に乗せたものの、一度下落し、再度の上昇タイミングが遅かったのだ。このタイミングだと、6月の政策期待(通常国会会期末にあたるので)次第では、更なる上昇に繋がり、(目立った動きがないはずの)6月にかけて21000円を目指す動きが出るかもしれない。
ちなみに、年初来高値を抜けてきた日経平均の次の目標値は、2000年4月高値の20833.21円だ。その程度の価格なら、一度はクリアする可能性がある。
しかし、そのまま上昇する様なら、今年の高値は夏場になるだろう。今後の長期的な上昇を期待するなら、一度下落することが、必要になる。
今年は、政策期待と終戦70周年の様々な動向が複雑に絡み合う事情がある夏なので、簡単には読めない。
もし、国会会期末までに、「失望売り」が出なければ、株価は20833円を抜き、さらに21000円を超えて上昇するかもしれない。
しかし、そんな勢いがあるような場合に、最も高い確率で起こることは、8月の休み前に高値をつけ、その高値を、今年いっぱい、抜けなくなる、という展開だ。
一方で、20833円まで行かず、あるいは行っても一瞬で終わり、下落に入ると、予定通り、夏場は一休みし、秋口から次のラウンドが始ることになるだろう。
いずれにしても、5月末までに一度売り、6月に再度参戦、高値を抜く動きが出るようならそこで一勝負、出ずに戻ってくるなら、少ない利益で撤収、というのが、基本的な戦術姿勢となるだろう。
JST特別アドバイザー 堀