【堀 篤コラム】持ち合い解消と米国リスクで短期的な下落へ
公開期間:04月08日08:30〜04月08日08:30昨年の暮れから持ち合い解消売りは、市場でかなり発表され、実行もされてきた。しかし、トヨタとデンソーを中心としたトヨタグループの持ち合い解消は、全社で60兆円の時価総額をもつだけに、市場への影響が大きくなるようだ。このトヨタグループの株式売却懸念から、同グループ株に広範な売りが入った。
外国人投資家は、この動きを前向きにとらえている。いわゆる、日本の株式市場が「正常化」に向かっている、という評価だ。筆者は決して「正常化」に向かっているとは思わないが、外国人にとっては、より日本株を買う理由が出来たことは間違いがない。中期的にとらえれば、株価は反発に向かうだろう。
一方で、例えば、東海理化のように、デンソーによる東海理化株式売却に対して、自社株買いで対抗する、という手を打つ企業もある。また、京成電鉄は、機関投資家の要請もあり、オリエンタルランド株を手放したが、そのことによって、逆に自社株が急落した。つまり、資本の効率化を目指したとしても、優良株を手放すことになれば、それは自社株の評価を下げることになる、ということだ。つまり、「持ち合い解消」は今後、今以上に広がる可能性は低く、広がったとしても対応は可能だ、ということになる。それよりも、NY市場の下落が東京市場に及ぼす影響を、心配すべきだろう。
もし米国では利下げ期待が後退し、日本では秋口に本格的な金融引き締めが始まる、ということになれば、米国大統領選挙の影響も含め、日米の株式市場は夏ごろには、懸念材料をたくさん抱えることになりかねない。
いよいよ3月決算企業の決算発表が始まるが、前出の東海理化(25日)やオリエンタルランド(26日)などのように、業績には期待が持てるが、持ち合い解消リスクなどで決算発表までに下落する銘柄、があれば、仕込むチャンスかもしれない。
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