コラム 迷いの中にある市場と、IPO市場の再開
公開期間:01月23日13:30〜11月30日00:00トランプ大統領が誕生した。
警戒されつつあった20日の就任式演説は、「比較的」穏当な内容に終わり、株式市関連先物は、落ち着いた動きをしている。
一時19500円を抜き、20000円が見えたかのように思えた日経平均株価は、11日のトランプ氏記者会見への失望などにより、一旦19000円を割り込む水準まで下落した。しかしなんとかそこで踏みとどまり、20日の演説を19000円台で乗り切った、というところだろう。
そして今、市場が最も注目しているのは、次の動きがドル高なのかドル安なのか、だ。
以前のコラムでも指摘したが、トランプ政策はドル高政策であるが、トランプ自身はドル高を望んでいない。このジレンマにどう対処するか、が、注目点になっている。これに対する解題が与えられると同時に、市場は一方的なドル高、一方的なドル安、どちらかに動き出す可能性がある。
しかし、現状ではトランプ氏はドル高に対する懸念を表明する一方、新閣僚はドル高を必要と発言している。
確かに貿易不均衡の問題はドル高がその一つの要因ではあるが、もしドルが下落するならば、誰も米国内に投資をしようとはしなくなり、トランプ政策は根本的に破たんしかねない。トランプ氏は前者の一側面だけに不満を表明するが、複合的・合理的な判断ができる閣僚は、それを訂正して回ることになる。
こうした矛盾が、今後、どのように整理されていくかが、市場の注目点だと言えるだろう。
もし新政権が、国境税などの政策で貿易不均衡の是正を解消しようとするならば、それは保護主義であってもドル高要因となる。米国の輸入が減り、輸出が増えれば、その実需(輸出業者は輸出相手通貨を売り、ドルを買う)によってドル需要が増すからだ。
しかし、同じ貿易問題を通貨問題ととらえ、ドル高そのものに圧力をかけるような政策を採れば、これは逆にドル安となるだろう。
果たしてこれがどちらに出るか、日本国内の投資家としては、当面、為替敏感な銘柄への投資を控え、高みの見物をするのが一番だろう。
■ 再開するIPO
一方で、1月27日のシャノン(東証マザーズ3976)から、2017年のIPO(新規公開)が始まる。
日経平均株価の動向が明確になるまで、IPOをはじめとする個別銘柄へ、資金は流れる可能性が高い。
現状の金融事情には、結構なレベルの金余りが背景にある。したがって、円高などの要因で大型株が動きにくくなったとしても、中小型の銘柄がにぎわう、というのが昨年からの1パターンとなっている。
実際、昨年暮れにかけて、日経平均が天井をつけて調整に入った12月21日以降にも、IPOは6連勝(20日のリネットジャパンを入れると7連勝)と、踏ん張りを見せた。
12月21日の3銘柄、セグエ、グレイステクノロジー、イノベーションの初値が、それぞれ公募価格に対して+224%、+130%、+214%と凄まじい状況だったのを始め、22日のフォーライフが+32%、エイトレッド+134%、27日のティビィシィ・スキャット+221%と、年末年始の休みに入る前まで、IPOは宝の山となっていたのだ。
今年は、1月27日のシャノン(マーケティングクラウドサービス)、2月10日の安江工務店(住宅リフォーム)、2月16日の日宣(広告・SPなど)、23日には、フュージョン(これはアンビシャスだが)、ユナイテッド&コレクティブ、レノバと3銘柄がデビューする。
ただし、いつものことだが、抽選参加はもちろんOKだが、高すぎる初値についていくことは禁物だ。
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