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耳より株通信

  • コラム 「金融政策」の駆け引きと、テーマ系銘柄

    公開期間:09月05日12:00〜11月30日00:00
    ◆9月は日銀緩和、FRB利上げ温存で、株価上昇か

    米国雇用統計の発表で、また議論が分かれている。
    利上げが遠のいたのか、確実になったのか、専門家の見方が分かれ、個人投資家にはわかりづらい展開が続く。

    しかし、実はそれは中期的な意味では、大した議論をしているのではない。
    「いずれ米国は利上げをする」ことに違いはないからだ。

    ちなみに、今回の雇用統計の発表で重要なことは、「9月の利上げがあるかないか」ではない。
    「年内の利上げがあるかないか」
    ということが問題だったのである。
    本来、利上げが年内なのか、年を越すのか、ということは、大きな問題ではない。しかし、期間収益が重要な機関投資家にとっては、大きなテーマなのだ。なぜなら、ファンドの決算のほとんどは11月と12月に集中しており、そこへ向けてどのようなポジションをとっていくか、は、大統領選後の新大統領の発言と、FRBの政策に大きく左右されるからだ。
    したがって、機関投資家を持つ金融会社のアナリストは雇用統計について、大きな声で様々に騒いでいる。
    しかし、これは単なる「空騒ぎ」というやつだ。

    したがって、個人投資家にとっては、ほとんど意味が無い議論をしている、といっても過言ではないだろう。
    確かに、今回の雇用統計によって、世論は、年内の利上げがある、という方向へ大きく動いた、と言える。しかし、ドルが大きく上がっているのは、それだけが原因ではない。
    もう一つ大事なのは、9月に日銀が追加緩和策をうってくる、という考え方が市場で支配的なことだ。「緩和策の検証を行う」と言いつつ、黒田氏は次の政策をやるぞ、という強い「覇気」のようなものを発している。一連の金融政策の実行と消費税増税の見送りで、黒田氏の存在感は大きくなっている。マイナス金利政策による金融機関との対立構図が、かえって黒田氏にカリスマ性を与えているような気さえする。
    ドルが強い要因の一つは、FRBよりも日銀の緩和策期待という側面のほうが強いかもしれない。

    黒田氏がすごいのは、ここまで政策が手詰まりであるにも関わらず、やはり追加緩和があるのではないか、という期待感を、市場に持たせることだ。
    この期待感が現実のものとなり(日銀がなんらかの政策を打ち出す)、同時に米国は利上げを温存する、というのが私のシナリオだ。
    とりあえず、米国利上げまで株価は上昇し、利上げ後は相場が一度調整し、再度、また上がってくる、というのが私の見方だ。
    日経平均は18500円程度まで戻ることを想定すべきだろう。


    ◆フィンテックというテーマ

    一方で、中小型のテーマ株を、タイミングを見て仕込む、ということは、リスクも大きいが、当たれば大きな利益を生む。
    リスクは「どこで買うか」というタイミングでヘッジするしかないが、そのテーマに資金が回ってきたときに、大きな動きをする銘柄を持っておけば、理屈以上に儲かることもある。

    そこでまず、今回は、今年の大きなテーマになっている「フィンテック」について考えてみよう。

    フィンテックは、主にIT企業による金融サービスにより、これまでの金融サービスが一変することにより、生じる新しい産業だ。
    AIを使ったセキュリティや資金運用、ウェブや仮想通貨を使った通貨流通などが、代表的な事例だ。
    このビジネスには、既存業界の大きな壁はあるものの、銀行証券、その他金融企業者にとって大きな収益構造の改革機会であり、今後、大きな可能性がある。
    もちろん、関連銘柄として、三菱UFJや証券会社大手などを挙げることもできる。しかし、それではせっかくテーマを絞る意味がないだろう。
    そこで、中小型銘柄に絞って、2銘柄を紹介しておこう。

    フィンテック関連の代表的な中小型銘柄として、

    <6050>イーガーディアン
    <3696>セレス
    の2銘柄を挙げたい。

    イーガーディアンは、ネット上での掲示板等の監視事業を行う会社。AIを用いた人工知能型画像認識システムを事業化している。これをネットセキュリティへ活用し、フィンテックを進める、日本ブロックチェーン協会にも加盟している。

    セレスは、スマホ向けのポイントサイトを運営する会社。
    電子決済などの分野を展開している。

    イーガーディアンは株価位置が高く、セレスは低い。
    タイミングを見て、研究をしてみては如何だろうか。




    JST特別アドバイザー 堀

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  • コラム 17000円をいつ超えるのか

    公開期間:08月29日12:00〜11月30日00:00
    先週のイエレン氏の講演が、米国の利上げを示唆したとして、為替はドル高へ向かい、株式先物は上昇している。
    これは、既定路線のシナリオであり、特に驚くべきことでもない。
    日経平均先物は、再び16500円台を回復しているが、これも、ごく普通の動きといえる。
    以前から、102円で16500円という均衡点について説明してきたが、市場環境の好転から、102円なら17000円、という新たな均衡点が作られる可能性はある。しかし、先週末の下落で、またしても102円で16500円、が、均衡点となっている。

    先週の日経平均は、ほとんど動かず、市場関係者泣かせだった。
    市場が動かない、ということは誰ももうからない、ということであり、市場では、それが最も閑古鳥が鳴く原因となる。
    もっとも、夏休みから戻ったばかりの関係者には、ちょうどよい環境だっただろう。
    しかし、それだけ、市場を囲む環境に変化がない、ということだ。
    米国の利上げ、日本の金融緩和継続、下がれば政策的な買いが入り、上がればショートカバーが入る。こういった状況に何も変化はない。

    しかし、利上げのタイミングが近づけば、短期的に相場のボラティリティは上がるだろう。
    なぜなら、米国の利上げは、目先の材料出尽くしであり、そこで、ドル高の材料にはひとつの区切りがつくからだ。

    つまり、9月20日21日のFOMCがXデーとなるとすると、そこにむけてドルは上がるが、そこで一旦、下落する可能性が強い。ドルと日経平均の連動性が高い現状を考えると、日経平均にも同じことが言える。
    逆に、FOMCが、9月に利上げをしない雰囲気が強くなると、ドルは目先では上がらなくなる。その代り、やはり11月、12月利上げの期待が増すことになり、その前にドルが上昇しなおすことになるだろう。
    こういった「読み」は、大きな相場の展開にはつながらないが、短期的な利益を生み出す。
    ケース別に、ドルと日本株の動きを想定すると以下のようになる。

    9月に利上げしそうで、実際に利上げ・・・それまでドルも日本株も急騰、20日以降、短期的に下落し、また回復
    9月に利上げ予定だったのだが、利上げなし・・・それまでドルも日本株も急騰、20日以降、双方、急落。
    9月に利上げしなさそうで、利上げ・・・20日までは動かず、2発表後に急騰、その後調整。
    9月に利上げしなさそうで、利上げなし・・・株価はこの材料では動かず。

    また、9月の利上げには、別日程による影響がある。
    それは、9月13日から始まる国連総会、そして、9月25日に予定される米国大統領選のTV討論だ。
    FOMCが、完全に政治的な動向から独立しているかといえば、否だ。
    イエレン氏は、国際的な政治情勢に振られる可能性がある。
    彼女がもっとも恐れるのは、米国発の世界的なリセッションだ。過去、米国の利上げが機となり、大きなリセッションが発生した、という経験は数多く存在する。その轍を踏みたくないのは、手堅い政策のイエレン氏ならばなおさらのことだろう。
    米国の利上げによって、新興国通貨の急落、財政の破綻、といった可能性があれば、彼女は手を打たないだろう。国連総会にむけてそのような問題提起がなされる可能性もある。
    また、現状では考えにくいが、トランプ氏への支持率が回復し、孤立主義が高まるような政治状況が作り出された場合にも、FRBは利上げをしづらくなるだろう。

    逆に、これら二つの要素、つまり、新興国や欧州の債務問題が浮上せず、クリントン氏が優勢のまま大統領選が進むのであれば、9月に利上げ、という前提で市場が動く可能性は大きい。ただし、その場合でも、実際に利上げが行われるかどうかは、疑わしい。あくまでも、そういう前提で市場が動く、というだけの話だ。
    「そういう前提で動く」場合の日経平均は17000円を突破し、為替は102円を上回るだろう。FOMCが開かれる20日までが勝負となる。


    JST特別アドバイザー 堀

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  • ずれた中心点と、為替対応

    公開期間:08月23日11:00〜11月30日00:00
    ◆17000円超えのタイミングを見る日経平均株価

    前回まで、為替と日経平均の中心点は、102円で16500円だと言ってきた。
    しかし、現在、為替は100円近辺にあるにも関わらず、日経平均は、決して弱くなく、16500円をキープした。
    この先週の終わり方は、株式市場が、為替の影響下から、ほんの少し抜け出たことを示唆しているように思う。

    お盆休みの間に仕掛けられた円高への動きは、ファンダメンタルの変化をとらえたものではなく、どちらかといえば「投機的な」動きだと理解され、株式市場に大きな影響を与えなかったのだ。
    一方で、米国の9月利上げ説が有力な情報として出回ったのも先週だ。各地方の連銀理事が、相次いでそれを示唆するような発言を行っている。こういった流れを受けて、今週、イエレン氏はジャクソンホールでの講演で、なんらかの見方を示すのではないか、というものだ。
    つまり、ファンダメンタルでは円安ドル高材料しか出ていないにも関わらず、円は上昇し、しかし、株価はキープされている。

    この現象にいろいろな見方はできるが、一つ言えることは、これが強気の材料にしかならない、ということだ。
    NY株式市場は活況だ。
    日本もそれほど悪くはないが、しかし、米国の盛り上がり方から見ると、雲泥の差がある。おそらく、日経平均株価は、グローバルな割安さがどこかで注目され、為替の動きと関係なく、浮力を得るだろう。
    1ドル=102円での均衡点は、17000円を超えるところまでずれたかもしれない。


    ◆オリンピック関連銘柄の再抽出

    リオ五輪が終わる。
    日本は過去最多のメダルを獲得し、東京での開催に勢いを得たように思われる。特に、「習えばできる」スポーツ、水泳、体操、卓球、バドミントン、レスリングという種目に、大きな希望が出てきたことは、日本のスポーツ人口の増大とすそ野の広がりを期待させる。

    今回、オリンピック関連銘柄として買われた銘柄が、先週、下落していったが、こういった銘柄を、今後、継続的にウォッチしていく必要があるだろう。

    スポーツジム、スポーツ用品、競技場運営会社、といった中から、この4年間で大きく居所が変わるものが出るのは間違いがない。
    <9766>コナミや<7936>アシックスといった本命銘柄はもちろん、その他にも隠れた五輪関係銘柄があるはずだ。
    次回に向けて、そういった銘柄を探っていこう。


    JST特別アドバイザー 堀

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  • 東京都知事政策関連

    公開期間:08月08日15:45〜11月30日00:00
    ■アベノミクス+アルファのテーマとは 日経平均株価は、落ち着きを見せている。
    しかし、この落ち着きは、簡単に言えば、「下がる理由は無いが、上がる材料が見当たらない」状況だともいえる。
    こうなると、テーマを持った中小型株にシフトが始まりやすい。
    市場にボーナスステージを運んできたポケモンGOは、中小型株ファンにとって、いっときの清涼水になったといえるかもしれない。

    しかし、実はポケモンGOは例外的であり、今はテーマを政策に求める傾向が強まっている。アベノミクスと黒田バズーカという、両輪が、良く悪しくも、注目されている証拠だ。そう考えると、どうしても、国内外の政策に目を向けざるを得ない。
    国内の政治日程はほぼ落ち着いた。
    内閣人事までが終わり、なんとか阿部内閣は支持を確保したと言えるだろう。

    振り返りになるが、アベノミクス関連のテーマは、以下のようになる。

    IoT・AI
    ロボット
    介護
    燃料電池
    スポーツ
    農業
    観光

    であり、確かに、関係銘柄は、大きく動くことがある。
    しかし、ここへきて、少し焦点がぼけつつあり、市場の雰囲気も、別のものを欲していく感がある。
    つまり、アベノミクス+アルファのテーマが市場に求められているのだ。

    ■保育所関連と年号問題

    前回、テロ対策関連銘柄について紹介したが、今回は、保育所関連を見てみよう。これは、国策というよりも、東京都のテーマとして、より注目されている。
    都知事選を戦ったどの候補も、待機児童の解決について語った。
    つまり、誰が見ても、「やるべき」政策なのだ。

    保育園を運営している上場企業は、実は結構ある。
    その中で、3銘柄だけ、紹介しておこう。

    ピジョン(東証1部7950)
    育児用品大手。保育園も運営する大手企業
    PER 28.67 PBR 6.15 配当利回り 1.77 時価総額3029億

    JPホールデングス(東証1部 2749)
    保育所最大手。
    PER 22.02 PBR 3.55 配当利回り 1.43 時価総額 245億

    サクセスホールディングス(東証1部 6065)
    保育所中堅
    PER 9.68 PBR 2.67 配当利回り 1.60 時価総額 65億

    最も注目されている政策であるだけに、近いうちに、小池知事の打つ手が発表されるのではないだろうか。

    JST特別アドバイザー 堀

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  • ポピュリズムの台頭と、テロ対策関連銘柄

    公開期間:08月01日12:00〜11月30日00:00
    都知事選が終わり、自民など与党にも、そして野党にも推薦されない小池氏が勝利した。テレビでは、その理由をああだこうだ、と言っているが、一番の要因は、自民党都連の怪しげな老人支配の構図が、都民にばれかけた、ということだろう。

    英国のEU離脱、トランプ氏の予想外の?健闘、こういったものが、「ポピュリズム」の台頭を想起させている、と以前のコラムで書いたが、ひょっとすると、今回の都知事選も、その延長線上にあるかもしれない。

    今年から来年にかけて、急きょ浮上してきた市場の重要なテーマは、「ポピュリズムとの闘い」ということになる。
    世界中では、来年のフランス大統領選挙など、重要な選挙は続く。そのたびに、孤立主義的な大衆迎合主義は顔を出し、市場の混乱を呼ぶことが考えられる。
    このようなポピュリズムに負ける国の通貨は下落するからだ。
    そしてその度に、市場はリスクオフに動き、円は余計に高くなるだろう。

    投資家として、今年の米国大統領選はもちろん、今後の海外の重要な選挙の日程は、頭に入れておくべきだ。
    その度に、常に円高リスクは現れる。

    ■週初の失望売りは織り込み済み

    日銀の「ヘリマネ」スキームが発表されなかったことで、海外の市場では円高と日経先物売りが先行している。
    特に為替の方は、一気に102円前半まで円高が進んだ。
    しかし、ここまでの動きは、想定通りだろう。株価がこれだけの水準にある中で、ヘリマネ的な発表をする必要は感じられない。それより、いま日銀が優先課題にしているのは、国内金融機関との関係融和だ。
    マイナス金利導入以降、日銀は三菱UFJ銀行はじめ、メガバンクとの関係がしっくりいっていないと思われる。したがって、先週、おまけ的に発表したいくつかの金融政策は、銀行ウケを狙っていると思われる。

    いずれにしても、為替で102円、日経平均16500円は、以前にも書いたように、均衡点である。
    しかし、日銀がETFの買付枠増額を発表したことから、株価は、それほど下落はしないだろう。
    もし、これよりも大きく下落することがあれば、そこを見逃す手は無いように思う。米大統領選挙が近づき、ポピュリズムリスクが意識されるまでは、市場は過度に警戒をする必要な無いように思われる。

    ちなみに、世界にポピュリズムが蔓延すれば、自主防衛力の強化が要請される。
    また、対民衆でも、制御する力が必要になるだろう。それが、テロ対策でもあり、株式市場のひとつのテーマでもある。

    ■テロ関連銘柄

    先週は、隅田川の花火などもあり、イベントで大勢の人が集まる機会が多くなっている。花火に行った人ならわかるだろうが、現場での警備体制は、昨年までの比ではない。
    ニースで起きた、花火会場での大型車暴走事件などのこともあり、隅田川沿岸でも、厳重な警戒態勢が取られている。群衆の大きな動きを自動的に追尾するシステムなども導入され、官民挙げて、テロ対策が行われるようになった。
    警視庁からは、サブマシンガンを持つ特殊部隊、「ERT」も投入されており、ついに、日本も海外並みの警備が必要になった、と、認識を新たにした人も多いだろう。

    こういったテロ対策関連銘柄、というのも、今後の重要なテーマの一つだ。
    特に、以下の2銘柄は、買うタイミングを考えておくと面白いだろう。


    RSC(4664JQS)    464円 PER 61.8倍 PBR 1.08倍
    トスネット(4754JQS)889円 PER  7倍 PBR 1.04倍

    数値はいずれも7月29日



    JST特別アドバイザー 堀

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  • 大型株は押し目待ち、小型株はテーマ株を

    公開期間:07月25日12:00〜11月30日00:00
    ■ 大型株は押し目待ち

    G20が無事進み、市場は、英国問題を一旦、脇に置く余裕を見せ始めている。
    一番大事なことは、危機感を一体化して先進各国が持った、ということにつきるだろう。

    また、今回のG20が中国で行われた、という意味も大きいと思う。
    やはり、世界経済の発展に、中国は、非常に重要な役割を果たしている。

    とりあえず、こういった安心感の下、日経平均株価は、17000円近くまで上がってきており、とりあえず、前回の高値、17613円を目指すことになるだろう。

    もちろん、一発でそこまでいく、というよりも、多少のアップダウンをしながら、上昇するのではないか、と思っている。
    ひとまず現状での大型株投資においては、大きく下落した日に、どれだけのものをゲットできるかということが重要になってくるだろう。

    今週は、FOMC,日銀の政策委員会と、政治日程が続くだけに、「失望売り」の可能性が出てくるが、よほど大きなことでなければ、下がったところは、狙えるだろう。
    日銀に緩和政策の期待があるが、何もなければ、下がる可能性がある。
    しかし、日経平均株価の短期的な目標値は、18000円だ。
    前回高値、17613円(4月26日)の前の高値は、17905円(2月1日)だが、この間のゾーンに入ってしまえば、次の展開も見えてくる。

    ■ テーマ株を追撃

    小型株は、やはり投資戦略の中心となってくるだろう。
    その傾向(大型株より小型株)は、恐らく、秋口には最大になる。

    LINE関連
    オリンピック関連
    越境EC
    AR/VR関連

    これらのテーマが主な循環の対象となっている。
    それらの中には、非常に割高と思われるバリュエーションがついてくるものもあるが、そのような一番手銘柄は避け、できるだけ割安さを残した銘柄選択をしたほうが良いだろう。テーマの循環が速いからだ。
    こういった早い展開の相場では、2番手3番手への投資が効果的だ。
    それぞれのテーマの銘柄状況を俯瞰しておきたい。



    JST特別アドバイザー 堀

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  • 均衡点に戻った日経平均株価

    公開期間:07月19日15:30〜11月30日00:00
    日経平均株価は、振り出しに戻った。
    前回のコラムで指摘したように、為替の102円、日経平均株価の16500円は、ともに、戻りのメドとして、ほぼコンセンサスが得られていた価格帯だと言える。
    前週、この水準を、ふたつともクリアしてきた。為替は105円台まで行き、日経平均株価も、16600円台をつけた。
    つまりこの価格帯は、「高くも安くもない水準」なのだ。

    ここからが予測が難しい局面となる。

    ここから先、株価が上昇するとすれば、世界各国の結束が必要となる。
    現在、各国はそれぞれに経済的な悪材料を抱えている。これをうまく調整できる、というメッセージを市場に送ることができれば、たとえば、日経平均が18000円までいっても良いだろう。
    「株価は、ここまで、結構上昇してきた」
    という実感が、現在の株価水準を高く感じさせているが、それは個人投資家特有の錯覚だと言える。日経平均株価は、確かにEU離脱決定直前の水準に戻ったが、もともと、それまでは16000円から17000円のボックスを中心に動いてきたのだ。
    だからこそ、私は16500円が、均衡点だと主張してきた。
    米国の景気回復、日本の頑なな金融緩和、というベースが崩れず、新たな悪材料が表面化しなければ、まだ日本株に上昇余地はある。

    一方、そのような「取り繕い」の合意が出来なければ、再度、危機が世界市場を襲う可能性もある。その場合、日経平均で14000円が、その下値ラインとなるだろう。では、「取り繕う必要があること」とはいったい何なんだろうか?

    最大の懸念は、EU離脱の余波だ。
    そして、その同格にある中国の行動。

    この二つは、大きなリスクとして、厳然として我々の前にある。しかし、ここ数週間の間に、市場には、一つの大きな変化が表れたのだ。
    それは、楽観への転換と言える。
    英国のEU離脱は、市場関係者に。「ポピュリズムの台頭」をイメージさせ、その先にある政策の無策と、市場の混乱に慄いた。
    一種の革命のようなイメージだろうか。
    確かに、追随するように、欧州の各所から独立や反EUの声が上がり、孤立主義ともいえるトランプ氏に支持が集まり、無関係とはいえ、トルコでは実際にクーデターが起きた。

    しかし、このポピュリズムを、政治家は、コントロールできるのではないか、と市場は評価している。
    コントロールできるのであれば、欧州は緩慢ながらも米国の協力を得て、景気回復に向かう。そして、中国をうまく利用し続けることができる、と市場は考えることになる。
    そういった評価が増えれば、株価水準はさらに上がるだろう。
    しかし、逆に出れば、株価は下方へ向かう。

    つまり、株価が上昇するには、米国大統領選ではクリントン氏勝利が最低条件であり、欧州のどこかの国が住民投票をする、などというニュースは、結果に関わらず、市場にはバッドニュースとなる。
    リオ五輪を見ながら、市場は、各国のニュースに最新の注意を払うことになるだろう。

    日経平均株価の上のゾーンは17000円から19000円のゾーンにあり、下のゾーンは14000円から16000円だと考えられる。


    ■マイナス金利下で、高配当利回り銘柄の探索

    マイナス金利の影響が、あちこちに出始めている。金融市場や資本市場でも、その余波は見られ、社債発行を検討する企業が増えてきた。

    しかし、一方で株式市場でも、高利回り銘柄の人気が出始めている。
    現在、東証1部で、配当利回り4%以上、時価総額300億円以上の銘柄の中から、独自の基準で抽出すると、以下のような銘柄が出てきた。

    日産自動車(7201)
    黒田電気(7517)
    スター精密(7718)
    SBI(8473)
    マネックスG(8698)
    日鉄住物(9810)

    これらの銘柄は、一定の強さを持った高利回り銘柄群だ。
    マイナス金利の時代に、4%の金利は魅力だろう。
    日経平均がどちらへぶれるか見極めるまでは、こういった銘柄を持っておくのも一つの手だ。

    JST特別アドバイザー 堀

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  • 一時的に為替と株式市場の連動が薄れる可能性

    公開期間:07月11日11:00〜11月30日00:00
    ■雇用統計に異なる反応をした株式市場と通貨市場

    先週は、米国雇用統計の発表と、週末の参院選挙、という二つのイベントがあり、なにか飛び出すか?と思いきや、結局、あまり大きなサプライズもなく、相場は小動きを続けている。

    雇用統計は、前月比で28万7000人増加という、想像を超えた強い数値が出た。
    しかし、ここで少し注目すべき事態が生じている。
    為替相場と株式相場では、真逆の反応が出たのだ。

    NY株式市場は、この数値の強さに素直に反応し、NYダウは前日比250ドル高となり、英国選挙前の水準を回復した。
    しかし、為替相場では、ドルは急落。1時、100円を割れたのだ。
    ドル円の動きは、次の二つの要因にその原因を求められる。

    @5月の雇用統計の数値が低く、6月が高いといっても、平均では、それほどでもない。
    A6月の強い数値は、英国選挙以前の数値であり、その影響が顕在化していない。

    この株式市場と為替市場の異なる動きをどう解釈したら良いか、が、今後の相場を占う一つのヒントになる。
    実際、CMEの日経平均先物は、為替が円高になっているにも関わらず、前日の日経平均株価に比べ、240円高いところで終わっている。
    もしこれが、各国共通で、英国選挙前の水準を目指す、という動きであれば、日経平均も英国選挙前の16230円近辺まで、1100円程度の上昇を見込めることになる。
    これまでは、円高がその動きを阻止してきたが、ドル円が100円より下には行きづらい(100円を割れると介入などにより、すぐに戻る)という認識が通るようになれば、株式市場は、ある程度安心して上昇することができる。
    一定の「人工的な」相場介入が必要と思われるが、サミットも終了した今、良い子ちゃんにしている理由もあまりない。
    100円は大きくは割らない・・・そして株価は16000円台回復、という、為替と株式を切り離した見方が、短期的に訪れるかもしれない。


    ■選挙後はどう動くか?

    一方、もう一つの材料と言われる参院選挙は、予想通り、保守陣営の大勝利で終わった。しかし、これが新しい材料にはなりにくいだろう。
    過去の国政選挙では、株式市場は以下のように動いている。

    2012年 衆議院選挙 自民党政権復活 
    選挙までの1か月 +7.9% 
    選挙後の1か月  +8.9%

    2013年 参議院選挙 自民党大勝
    選挙までの1か月 +10.3% 
    選挙後の1か月   −8.0%

    2014年 衆議院選挙 自民党大勝
    選挙までの1か月 −0.7% 
    選挙後の1か月  −3.3%

    自民党政権の復活時には、期待度から、選挙前、選挙後と株式市場は急騰した。そして、翌年の参院選でも、期待度から選挙前は上昇。しかし、その後は材料出尽くしのように株式市場は下落。
    そして、2014年衆院選は、自民勝利は既定路線となり、選挙の前も後も、ほとんど反応がなくなったと言って良いだろう。
    今回も、選挙以上の材料も多々あり、あまり、それによって株式市場が振られる状況にはないと見るのが妥当だ。

    JST特別アドバイザー 堀

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  • 小型株へのシフトが進む市場

    公開期間:07月04日11:00〜11月30日00:00
    ■ドル円は、政治的に高どまっているのか?


    英国のEU離脱から、1週間が経過した。
    その間に、市場のコンセンサス(合意事項)として、一つの方向性が出てきた。
    それは、以下のような認識だ。

    @ 米国の利上げは年内、可能性がなくなった。
    A しかし、為替の大きな変動を食い止めさせようとする政治的な圧力が、市場に加わっている。

    英国のEU離脱によって混乱するだろう欧州景気に留意することで、米国利上げは、確かに困難になっている。この状況であれば、ドル円はもう一段も二段も円高に向かっても良いはずだ。
    しかし、102円を割れようとするドル円の動きに対して、市場では、一定の反発が起きている。

    これが政治的な動きかどうか、断定はできないが、市場ではドル円の水準は、102円ではまだ高すぎると見ているようだ。
    したがって、株式市場の動向を見る場合に、円高に備える気持ちは持っておくべきだろう。しかし一方で、為替相場における各国の協調が表面化すれば、102円〜104円の安定した水準が続くことも期待できる。
    その場合は、日経平均で16500円程度までの戻りが考えられるだろう。

    その判断基準は、ドル円が103円をつけるかどうか、だ。103円が数日続けば、ドルの大きな下落は無いと読む投資家が増えるはずだ。


    ■ 選挙前の水準を回復した小型株

    16238円が、英国選挙の前日の日経平均株価だ。
    先週終値、15682円は、そのときの価格の3.4%下の値段となる。
    ジャスダック平均は、英国選挙前には2438円で、先週末が、2454円。つまり、選挙前の水準を上回ってきたのだ。マザーズ指数は、同じく選挙前が973.74だったのが、先週末は1027.88。こちらは5%以上、上回ってきた。
    こういったことから考えると、やはり、小型株への投資比重を増やすべきだろう。EUの問題は、為替の問題である、と認識してしまえば、小型で為替の影響が少ない銘柄に投資する分には、その影響は全くないと言っても良い。

    選挙、五輪といった主要日程から考えれば、国の施策である第四次産業革命関連への投資が最も手堅い注目先だ。しかし、大型株には為替・指数売買のリスクがある。

    小型株で、IoT、AI、五輪などの関連銘柄かつ、為替影響がない、という企業を探しておくべきだろう。



    JST特別アドバイザー 堀

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  • 動き始めた新しい局面

    公開期間:06月27日12:00〜11月30日00:00
    ■ポジションを持ったままの人は反省を


    英国のEU離脱が決まり、金融資本市場は、まずは世界一周をしてきた。

    結果として、当事者であるロンドン市場を含め、最も大きな下落に見舞われたのは、東京市場だった。
    その原因は、3つある。

    @東京市場が、投票結果が最初に反映された市場だったこと
    A為替が円高に大きくぶれたこと
    B楽観的なニュースに振られたこと

    前回のレポートで触れたが、日本のFX投資家は、大きくポンド買い超過の状況になっていた。
    これは、日本の多くの投資家が、英国の選挙を舐めてかかっていた、ということだ。それは、日本国民特有の事なかれ主義というか、まさか、英国民がそんな選択をするはずはない、という思い込みに端を発する。
    大きな変化に鈍感だ、と言ってもよいだろう。
    しかし、このポジション取は、大きなリスクをとっている。

    株式投資家も同じで、このイベントで大きな損失を抱えるようなリスクのとり方は反省すべきだろう。
    実際、23日の東京市場では、普通に見ていれば、逃げられるタイミングは、確実にあった。

    金曜日、東京市場では、投票結果が順次報道されるたびに、微妙に日経平均は変化した。10時過ぎに一度急落してから、すぐに回復し、後場開始とともに急落するが、1時には、少しだけ戻す。
    この動きを見ると、もし残留が決まったとしても、材料出尽くしで下落するのではないか、と思うべきであり、迷わず売却すべき相場展開だったと言える。

    ただ、当日の情報では、選挙の開票が、地方の離脱派が多い場所から順にいく、ともいわれていた分、逃げ遅れが多く発生した原因かもしれない。

    今回は、まず、当日にポジションを持っておくべきでなかった(短期的な投資資金のみ。中期的な投資分は、除く)。そして、持っていたなら、前場のうちに売却すべきだった。

    結果論ではなく、当然そうすべきであり、できなかった投資家は、反省すべきだろう。


    ■今後の動き


    株式市場は、週初、戻りを見せるだろうが、そのあとは不透明だ。
    東京市場は、ドル円の動きに左右されるだろう。

    ドル円は102円〜104円というゾーンと、90円〜96円という大まかなゾーンに居所がある。
    今回のイベントで、一旦99円台まで入ったドル円が、いまは102円〜104円のゾーンに入ってきた。しかし、再度動き出せば、中途半端な水準ではなく、96円を割り込むような円高が来るだろう。一方、104円より上の円安は考えにくくなっている。
    今回のイベントで、
    「米国の利上げは、当面なくなった」
    というのが、ほぼ一致した見方になっているからだ。

    これに株式市場の動きを合わせれば、以下のゾーンとなる。

    102円〜104円:日経平均 16500円中心
    90円〜96円 :日経平均 13500円〜14500円

    世界は、いまや孤立主義に向かうのではないか、という危機感の最中にいる。
    トランプ氏の支持率が上がれば、為替は90円〜96円ゾーンに向かうだろう。参院選で自公が苦戦しても同じことが起こる。
    また、孤立化は、中国のより政治的な台頭を意味する。

    これからの国際金融市場の注目テーマは、「ブロック化か孤立主義か」になっていくだろう。欧州各国、地域・中国の情勢からは目が離せなくなる。




    JST特別アドバイザー 堀

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