コラム 「金融政策」の駆け引きと、テーマ系銘柄
公開期間:09月05日12:00〜11月30日00:00米国雇用統計の発表で、また議論が分かれている。
利上げが遠のいたのか、確実になったのか、専門家の見方が分かれ、個人投資家にはわかりづらい展開が続く。
しかし、実はそれは中期的な意味では、大した議論をしているのではない。
「いずれ米国は利上げをする」ことに違いはないからだ。
ちなみに、今回の雇用統計の発表で重要なことは、「9月の利上げがあるかないか」ではない。
「年内の利上げがあるかないか」
ということが問題だったのである。
本来、利上げが年内なのか、年を越すのか、ということは、大きな問題ではない。しかし、期間収益が重要な機関投資家にとっては、大きなテーマなのだ。なぜなら、ファンドの決算のほとんどは11月と12月に集中しており、そこへ向けてどのようなポジションをとっていくか、は、大統領選後の新大統領の発言と、FRBの政策に大きく左右されるからだ。
したがって、機関投資家を持つ金融会社のアナリストは雇用統計について、大きな声で様々に騒いでいる。
しかし、これは単なる「空騒ぎ」というやつだ。
したがって、個人投資家にとっては、ほとんど意味が無い議論をしている、といっても過言ではないだろう。
確かに、今回の雇用統計によって、世論は、年内の利上げがある、という方向へ大きく動いた、と言える。しかし、ドルが大きく上がっているのは、それだけが原因ではない。
もう一つ大事なのは、9月に日銀が追加緩和策をうってくる、という考え方が市場で支配的なことだ。「緩和策の検証を行う」と言いつつ、黒田氏は次の政策をやるぞ、という強い「覇気」のようなものを発している。一連の金融政策の実行と消費税増税の見送りで、黒田氏の存在感は大きくなっている。マイナス金利政策による金融機関との対立構図が、かえって黒田氏にカリスマ性を与えているような気さえする。
ドルが強い要因の一つは、FRBよりも日銀の緩和策期待という側面のほうが強いかもしれない。
黒田氏がすごいのは、ここまで政策が手詰まりであるにも関わらず、やはり追加緩和があるのではないか、という期待感を、市場に持たせることだ。
この期待感が現実のものとなり(日銀がなんらかの政策を打ち出す)、同時に米国は利上げを温存する、というのが私のシナリオだ。
とりあえず、米国利上げまで株価は上昇し、利上げ後は相場が一度調整し、再度、また上がってくる、というのが私の見方だ。
日経平均は18500円程度まで戻ることを想定すべきだろう。
◆フィンテックというテーマ
一方で、中小型のテーマ株を、タイミングを見て仕込む、ということは、リスクも大きいが、当たれば大きな利益を生む。
リスクは「どこで買うか」というタイミングでヘッジするしかないが、そのテーマに資金が回ってきたときに、大きな動きをする銘柄を持っておけば、理屈以上に儲かることもある。
そこでまず、今回は、今年の大きなテーマになっている「フィンテック」について考えてみよう。
フィンテックは、主にIT企業による金融サービスにより、これまでの金融サービスが一変することにより、生じる新しい産業だ。
AIを使ったセキュリティや資金運用、ウェブや仮想通貨を使った通貨流通などが、代表的な事例だ。
このビジネスには、既存業界の大きな壁はあるものの、銀行証券、その他金融企業者にとって大きな収益構造の改革機会であり、今後、大きな可能性がある。
もちろん、関連銘柄として、三菱UFJや証券会社大手などを挙げることもできる。しかし、それではせっかくテーマを絞る意味がないだろう。
そこで、中小型銘柄に絞って、2銘柄を紹介しておこう。
フィンテック関連の代表的な中小型銘柄として、
<6050>イーガーディアン
<3696>セレス
の2銘柄を挙げたい。
イーガーディアンは、ネット上での掲示板等の監視事業を行う会社。AIを用いた人工知能型画像認識システムを事業化している。これをネットセキュリティへ活用し、フィンテックを進める、日本ブロックチェーン協会にも加盟している。
セレスは、スマホ向けのポイントサイトを運営する会社。
電子決済などの分野を展開している。
イーガーディアンは株価位置が高く、セレスは低い。
タイミングを見て、研究をしてみては如何だろうか。
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