■雇用統計とイースター、そして皆既月食
先週末は、イースター(復活祭)のお休みと雇用統計発表が重なる、という微妙な日程で、なんか嫌な予感がしながら、休んだ運用担当者も多かったようだ。
そして残念なことにその予感は的中。
雇用統計はまさかの126000人増(非農業部門雇用者数)と、予想(245000人)の半分近い水準に終わり、為替市場ではドルが急落した。
ちなみにドル円は118円台。
この週末は、プロの連中でも、考えどころだろう。今週の見通しは決して明るくはない。
ここはチャンスなのかピンチなのか・・・。
しかし、雇用統計を待つまでもなく、ここで市場が不安定になることを当然のことと受け止めている連中がいることも確かだ。
それは、「金融占星術」の信者たちだ。
彼らは、新興宗教の信者ではない。
プロの金融マンであり、機関投資家の重要な業務担当者たちだ。
真面目な話、占星術まがいなことを「密かに当てにする」するプロもいるのだ。
彼らによれば、土曜日にあった皆既月食が、この市場動向に微妙な心理的影響を与えていると言う。
そもそも、この3月末を若干弱気に見ていた連中の中には、その根拠を皆既月食に求めている人も多い(もちろん表立っては言わないが)。
昨年10月8日にも皆既月食があった。
そのときは、それまで16000円台に乗せて好調だった日経平均が、月食が近づくに連れて下落し、月食後には15000円を割る、という展開を見せた。
このときの嫌な感じを忘れていないプロは多い。
「やっぱりな・・・」
と、宇宙の動きにさらに敬服した金融マンは多かったのだ。
月の引力の影響が、地球の経済活動に影響を与えている、という説は、説得力があるのか無いのかよくわからない。
しかし、日ごろ、もっともらしい理屈を並べているようなファンドマネージャーやアナリストに限って、「金融占星術」の信者である、ということは特に珍しいことではないようだ。
特に米国では、政治でさえ、占い師がアドバイスしていると言われている。
昨年の皆既月食の動きを参考にするなら、あと1週間の我慢が必要だ。
■行き場のない資金はどこへ?
こういう展開のときには、中小型株へ行きたいところだ。
しかし、マザーズのあまりの情けなさに嫌気をさしている個人投資家は多いだろう。
そもそも、東証がマザーズから1部2部への銘柄移行を進めた結果が、いまの小型株の惨状につながっている、と指摘する声もある。
マザーズやジャスダックを代表していたような成長企業が、ここ数年で、ほとんどといって良いほど、1部、2部へ市場変更を果たした。
その結果、とくにマザーズ指数は、苦戦を強いられている。
IPO以外で、マザーズ銘柄に注目する頻度が、ずいぶん少なくなったと言えるだろう。
東証は、もっとマザーズやジャスダック企業のIR活動を支援すべきだ。ルールばかりが厳しくなっているだけでは、市場は活性化しない。
そんな新興市場だが、それでも「ねらい目」はある。
1 2月決算を4月15日までに発表する企業で発表にかけて期待できる銘柄
2 逆に、上記銘柄で、決算発表までに下落していった銘柄の反発狙い
3 4月連休前の駆け込みで上場するIPO銘柄
などだ。
「行き場のない資金」が、これらへ向かう可能性があり、このボラティリティは狙えるかもしれない。
2月8月決算の銘柄を中心に、4月10日、13日、14日あたりが決算発表のピークだ。10日のビックカメラと吉野家、13日のレディ薬局(東証JQS 3027)14日の買取王国(東証JQS 3181)の動きを注目したい。
決算が好調そうな企業は、決算発表日までに仕込み、発表翌日寄付きまでに売る。
ビックカメラはMACDなどいくつかの指標で買いサインが出そうだ。
吉野家とレディ薬局はタイミングを計りながら待ち伏せるパターンだろう。
一方、下落していく企業は、決算発表翌日の最後の売り物が出たところを拾い、反発を狙う。
買取王国は決算発表前後に反発に入るタイミングを狙うべきだろう。
IPOを巡っては、上場後2か月半で赤字へ業績予想変更をしたgumi(3903東証1部)などによって混乱が生じている。
そして、その上場主幹事、野村が、同じようなイメージを持つGnosy(マザーズ6047 ニュース・情報サイト転載アプリの開発など)を28日に上場させる。同じ日には、話題の「街コンジャパン」のリンクバル(マザーズ6046)も、SMBCフレンド証券、という未知数の証券会社によって出てくる。
もし、これらの話題銘柄が、IPO予測値を大きく下回る場面があるなら、思い切って買っておいても面白い。
しかし、とびつくのは危険だ。いくつかのサイトで予想値を十分に見た上で、値動きを見ながら検討すべきだろう。
恐らくは動きは荒れるし、だからこそ短期的に利益が出る可能性もある。あくまで荒れるところを狙うべきだ。
JST特別アドバイザー 堀